パラノイア (林百合さんの場合。)






生暖かいです。

ズブリって感じであっさりしてた。

あんまりにも手応えもなくて、とても不安な気持ち。

これがいなくなれば不安が無くなるはずなのに。

苦しい。

ぐるぐると地面が回る。

二人折れ重なるように倒れた。

やっぱり生暖かいです。

こんなにあったかいのに何で私には氷みたいだったの?







初めて会ったのは昨日のことのようで、なんだかなぁ。

暑い夏の日、蝉がうるさくて気が狂いそうな午後。











立ちくらみがした。

・・・・気持ち悪い。お腹が痛いし、大学来るんじゃなかった。

「何してんの?吐く?・・・ってうわぁ」

声がする。でも視界は暗転。

うっぷ・・酸っぱい匂い。吐いちゃった、サイテー・・・





気がついたら保健室へ。大学にも保健室ってあるのかと、初めて気がついた。



最悪の出会いです。どうやら私を保健室まで連れっていってくれたのは声をかけてくれた人。深谷充

それから再会して、お礼を言ったり、喋ったりしていたら

もうたまらなく好きになっていたのです。

その時私には彼氏がいたのですけれども、仕方がないと言えるでしょう。





「あのさ、こーいう事に口出すのってアレだけど、止めた方がいいよ」

友達の声、今思えば彼女の目は正しかったようで

「なんでよー」

口を尖らせた私になおも諭します。

「多分、きっと、尽くしてくれる人の方がいいって」

「えぇ?」

嫌そうに答えただけでした。



程なく付き合いはじめました。勿論私から言ったのです。

嬉しくて、楽しくて、いつも一緒にいたくなりました。

でも、楽しい時間はすぐに消え、不安が募り出したんです。







プルルルルルルル・・・・

「出ない・・・」

プルルルルルルル・・・・

「出ない」

どうしたんだろう?もうバイト終わる時間なのに。

ちゃらららん。

「あっ!メールだ」

そこには、今日は疲れたからもう寝るわ。オヤスミ とだけあった。

「なんでよぅ、バカ・・」





何でかまってくれないんだろう。

私のこと好きだって言ったじゃない。

嫌われてるのかな?どうしよう・・・







次の春が来た。

何故か家庭教師をしていた女の子が後輩になったらしい。

気に入らない。

「ハイハイ、大丈夫だって。あんたそんなに美人なんだからさー」

友達は気楽に言った。いつものように本ばっかり読んでこっちの話なんか聞いてくれない。





「だから、そんなのじゃないって。一志知ってるだろ?俺の友達、その妹」

だから何だって言うの。根拠なんかないじゃない。

じっと見てるのに、充を物欲しそうな目で見ているの。

気がつかない?

気がついてる?







死刑宣告をされた。

「別れて。ごめん、疲れた」

ツカレタってなに?

かまってなんてくれなかったじゃない。

お互いの時間を大事にしたいってどういうこと?

私との時間は大事じゃないの?

どうして会ってくれないの?

あの娘のところへ行くの?

「違う・・」

違うなら誰のところなんだろう







苦しい、死んじゃうよ。

今は誰を見ているの?













遠くでけたたましい音が鳴ってます。サイレン・・?

誰かが近寄ってくる。

たくさん、たくさん

「やだぁ、触らないで!私の、私のなんだから・・」

ヌルリとした感触に手が滑る。

でも、必死で抱えた。離したくない。もう離さない。

彼はもう一人で逃げないのに。

どこに連れていくの?

返してよ、返して・・。











暗いなー。背景のせいもあるんでしょうが。恋愛物かくぞー!と意気込んで結果がこの始末。
刺された男視点の続編も書こうとしています。
よく考えたら一人称で書くも久しぶりだなぁ・・。
・・・読み返してみたら名前が間違ってるので消しちゃいました。。。
そういえば辞書を引いたら偏執狂は40代以上の男性に多いらしい。意外かも。

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